防災といえば堤防や高台移転など“陸の対策”が中心ですが、
世界では今、「海を使って災害を防ぐ」取り組みが注目されています。
それが ブルーカーボン防災(Blue Carbon Disaster Mitigation)。
海の生態系を守りながら、
災害を減らし、さらにCO₂も吸収する——
一石二鳥の最新防災モデルです。
■ 1. 海の植物が“自然の防波堤”になる
ブルーカーボン生態系とは、海の中の植物の総称です。
- 海草(アマモ・ウミヒルモなど)
- マングローブ
- 藻場(海藻が繁茂するエリア)
これらは大きな防災効果を持っています。
防災効果
- 高波のエネルギーを40〜60%吸収
- 津波の勢いを弱める
- 海岸侵食を防ぐ
- 海岸線の安定化
堤防だけに頼らない「自然防災」の代表例です。
■ 2. 世界では“海の森”を復元する動きが加速
海外では、ブルーカーボンを防災目的で再生する動きが拡大中。
代表例
- インドネシア:津波対策としてマングローブ大量植林
- アメリカ:干潟・藻場の再生プロジェクト
- オーストラリア:「海草の森」を人工的に復元
- イギリス:高潮対策の“自然海岸保全”を国家事業化
災害対策+環境保護+観光資源の一体化が進んでいるのが特徴。
■ 3. 日本もすでにブルーカーボン防災を始めている
日本は島国であり、実はブルーカーボンのポテンシャルが非常に高い国。
国内例
- 三重県:藻場再生+高潮対策
- 福岡県:海草“アマモ”の再生活動を行政と市民が協力
- 神奈川県:横浜ブルーカーボンプロジェクト
- 宮城県:震災後の海岸林再生
日本は海洋国家だからこそ、
「海の防災」を強化するメリットは大きい。
■ 4. CO₂吸収で“防災 × カーボンニュートラル”が同時に進む
ブルーカーボン生態系は、陸の森林よりも…
最大20倍の速度でCO₂を吸収できる
と言われています。
つまり、
- 災害リスクを下げる
- 温暖化を抑制
- 海の生態系を守る
- 漁業資源も増える
と、メリットが多すぎる防災モデルなのです。
■ 5. 日本がブルーカーボンで強くなる理由
① 島国で活用できる海域が広い
② 災害(高潮・津波)対策と相性が良い
③ 地元漁業と一体で地域活性化
④ 学校教育にも取り入れやすい
⑤ 観光や環境学習に発展可能
“海の防災”は日本にとって大きな伸びしろ。
■ まとめ
ブルーカーボン防災は、世界で急速に広がる
自然を活かす次世代の防災モデル です。
- 海草・藻場・マングローブが高波を弱める
- 海岸侵食を抑える
- CO₂も吸収して環境に優しい
- 海外では国家事業として急拡大
- 日本でも実践が始まっている
防災・環境・地域活性のすべてを同時に進められる、
日本が特に強化すべき未来型の防災施策です。

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