日本の林野火災は「小規模・急斜面・アクセス困難」が特徴ですが、
世界にはまったく違うタイプの火災が広がる国が存在します。
その違いを知ることで、日本の山火事対策を強化するヒントが得られます。
■ 1. アメリカ(カリフォルニア):“都市と森が一体化”した巨大火災
アメリカ西海岸は WUI(ウイ)=都市と森林の境界区域 が広く、
林野火災がそのまま住宅地や都市部へ拡大する。
- 火災規模は数万ヘクタール
- 風で火の粉が数km飛ぶ
- 消火より“避難”が優先される
- 空中投下が中心(大型航空機・ヘリ)
日本:森林と住宅が密接している地域も増加 → 予防策の強化が必要
■ 2. オーストラリア:火を“コントロールして使う”文化
オーストラリアの山火事対策は非常に独特。
- 先住民文化の“計画燃焼(パッチバーン)”
- 敢えて小さく燃やし燃料を減らす
- 森林の生態系も火を前提としたものが多い
- 風向き・湿度・温度を科学的に分析して実施
日本では原則「火を使わない」「火は危険」だが、
燃料を減らす発想(燃えやすい下草対策) は学ぶ価値が大きい。
■ 3. カナダ:山火事は“数ヶ月続く”ことが当たり前
カナダの森林は広大で、
山火事は 季節をまたいで燃える ことも珍しくない。
- 乾燥地域で地下のピート(泥炭)が燃え続ける
- 冬でも消えない“越冬火災”が発生
- 大規模な煙害(スモーク)で健康被害が広範囲に
日本の山火事は短期戦だが、
長期的な煙害対策・健康対策 も視野に入れる必要がある。
■ 4. ポルトガル:斜面火災に強い“山地専用消防隊”
ポルトガルは日本同様に急斜面が多いが、
火災の規模が大きく、山地専用消防隊が設置されている。
- 山岳車両(4×4)
- 斜面用ポンプ
- 山火事専門の機動隊
- ドローンによる上空監視
日本の“地形は似ているが装備が違う”ため、
山地専用装備の研究・導入 は大きな強化につながる。
■ 5. ギリシャ:観光地を守るための“予防整備”が徹底
ギリシャは観光地が多いため、
火災前の“予防管理”が非常に進んでいる。
- 草刈りや間伐作業の徹底
- 避難ルートの事前確保
- 住民・観光客への事前周知
- 火災リスク地域の地図化
日本では急な火災が多いため予防が追いつかないことも。
観光地・公園の予防整備強化 に応用できる。
■ まとめ
世界の林野火災は、日本とは前提条件が大きく違う。
- 都市と森林が一体化(アメリカ)
- 計画燃焼で火をコントロール(オーストラリア)
- 長期化・越冬火災(カナダ)
- 山地専用消防隊(ポルトガル)
- 観光地の予防管理(ギリシャ)
これらの発想を日本の山火事対策に取り入れれば、
より強く・より早く・より安全な林野火災対策 が実現できます。

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