【防災士が解説】福岡の“水害に強い自治体”と言われる理由と、実は弱点も多い現実

福岡は全国的に見ると「水害対策が進んでいる」と評価されることがあります。
たしかに、河川改修やハザードマップ整備など、行政の取り組みは全国トップクラスです。

しかし——
「対策が進んでいる=安全」ではありません。

ここでは、福岡の水害対策の“強み”と、“それでも危険が残る理由”をまとめます。


■ 1. 福岡の水害対策が“全国トップ級”と言われる理由

● ① 河川整備率が高い(県・市の投資が大きい)

福岡県は国の補助金や自治体予算を積極的に使い、
主要河川(筑後川、矢部川、御笠川、室見川など)の改修を長年続けてきました。

氾濫危険水位の上昇速度も全国的に見ると抑えられています。

● ② 浸水ハザードマップの精度が高い

福岡市・北九州市はシミュレーション精度が高く、
「3D浸水想定」「災害種別ごとの想定」など情報の詳細度が高い。

● ③ 雨量レーダー・警報システムの導入が早い

キキクル(危険度分布)の活用や、
市町村の防災メールの普及が全国でも早かった。

● ④ 避難所の指定数が多い

人口あたりの避難所数が比較的多く、
学校・公民館・体育館が災害対応として整備されている。


■ 2. それでも“福岡の水害リスクが高い”理由

実は、強みと同時に「弱点」も多いのが福岡です。

● ① 日本有数の“豪雨地帯”

福岡は

  • 梅雨前線
  • 台風
  • ゲリラ豪雨(積乱雲)
    が集まりやすく、
    毎年「数十年に一度の大雨」が起こりやすい地域。

● ② 都市化が進みすぎて“排水が追いつかない”

博多駅・天神エリアは急激な都市開発が進み、
雨水の行き場が少ないため、内水氾濫のリスクが高い。

例)地下街の浸水、道路冠水

● ③ 山に囲まれた地形で“土砂災害が多い”

太宰府、早良、糟屋、宗像などは
山と住宅が近く、土砂災害警戒区域が多い。

● ④ 博多湾沿いは“高潮+台風”の複合災害のおそれ

百道浜・香椎・箱崎などは
高潮・強風・浸水の同時被害が起こりうる。

● ⑤ 水害が多いからこそ“油断が生まれやすい”

毎年見ている災害ほど
「今年も大丈夫だろう」
と正常性バイアスが生まれやすい。


■ 3. 福岡でやっておくべき水害対策

● ① 自宅のハザード確認

  • 洪水
  • 内水
  • 土砂災害
    の3つは必ずチェック。

● ② 車の避難ルートを決めておく

福岡は車が浸水被害を受けやすい地形。

地下駐車場は特に危険。

● ③ 家庭の備蓄は“水害前提”で

浸水=買い物できない
断水=トイレ不可
停電=情報遮断
となるため、最低3日分は準備。

● ④ スマホの防災アプリを必ず入れておく

  • キキクル
  • まもるくん
  • 川の防災情報
  • 福岡市防災アプリ
    など。

● ⑤ 避難開始の“雨量ライン”を決める

例:

  • 自分の地区の警戒レベル4
  • 1時間雨量50mmを越えたら
    など、家庭で基準を決めると迷わない。

■ 4. まとめ

福岡は全国でも有数の水害対策が進んでいる県ですが、
同時に災害リスクも全国トップクラスです。

  • 都市化
  • 豪雨地帯
  • 内水氾濫
  • 海沿いの街
  • 盆地地形
    など、複合的な危険があるため、

対策が進んでいても“油断できない”のが福岡の特徴。

だからこそ、
行政の対策 × 家庭の備え
この2つがそろってはじめて、
「本当に強い地域」になります。

福岡に住むからこそ、
水害は“毎年起きる前提”で備えることが命を守る最善策です。

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