【防災士が解説】リチウムイオンバッテリー火災は“なぜ消えにくいのか?”家庭で必ず知っておくべき「消火の難しさ」と対策

近年、スマホ・モバイルバッテリー・電動自転車・ポータブル電源など
あらゆる家庭で使われる リチウムイオンバッテリー火災 が急増しています。

消防の現場でも「通常の火災と全く性質が違う」ため、
対応が難しく、大きなリスクとなっています。

ここでは、
“なぜバッテリー火災は消えにくいのか?”
その理由と、家庭で絶対に知っておくべきポイントをまとめます。


■ 1. なぜ消えにくい?

→ 理由は「自己反応で燃え続ける」から

リチウムイオン電池は、内部の化学反応で発熱する仕組み。
いったん「熱暴走」が始まると…

● 酸素がなくても燃える

● 水をかけても温度が下がらない場合がある

● 隣のセルへ次々“連鎖反応”が起きる

通常の火災は「酸素を断つ」「冷却する」で消火できますが、
バッテリー火災は 内部で発熱し続ける ため、完全に消えるまで時間がかかります。


■ 2. 消防が現場で困るポイント

● ① 黒煙が非常に有毒

フッ素化合物など、人体に有害な煙が大量に発生。

● ② 破裂・飛散の危険

バッテリーが破裂して“弾丸”のように飛ぶことがある。

● ③ 再燃(さいねん)しやすい

一度消えたように見えても、内部の温度が高いと再発火。

● ④ 燃え尽きるまで時間がかかる

車のEVバッテリーでは「丸一日冷却」が必要なことも。


■ 3. 家庭でよくある“危険なケース”

● スマホを布団やソファで充電 → 過熱 → 発火

● モバイルバッテリーを落として内部破損

● 電動自転車を玄関内で充電中に爆発

● ポータブル電源を暖房器具の近くに置いて過熱

冬場・夏場は特に火災件数が増えます。


■ 4. 家庭向け:最も効果的な予防策

① 充電は“外出前・就寝前”にしない

これだけでリスクは8割減ります。


② 純正品(安全規格)の充電器・ケーブルを使う

PSEマークは最低限必須。


③ 落とした・膨らんだバッテリーは即交換

「膨らみ=爆発の前兆」です。


④ 充電は熱のこもらない場所で

布団・枕元・ソファ・車内は絶対NG。


⑤ 家庭に“難燃素材の収納バッグ”を1つ

Amazonでも売っている「防火ポーチ」「防爆バッグ」が有効。


■ 5. 火災時の正しい初期対応

● ① 大きく距離を取る(煙は有毒)

● ② 初期なら水で冷却が有効

バッテリーの温度を下げるため。

● ③ 炎が広がる前に粉末消火器(ABC)

炎が上がったら迷わず使用。

● ④ 収まっても近づかない

再燃しやすいので絶対に触らない。


■ 6. 防災的には“電源確保の柱”でもある

災害時、モバイルバッテリーやポータブル電源は命を救う装備。
だからこそ、

  • 正しく使う
  • 安全に充電する
  • 劣化したら早めに交換

この3つが非常に重要です。


■ まとめ

リチウムイオンバッテリーは便利で、災害時にも欠かせない道具。
しかし同時に、

  • 熱暴走を起こすと消えにくい火災になる
  • 誤った使い方で家庭火災につながる
  • 予防は“充電の仕方”でほぼ決まる

という特徴があります。

正しく扱うだけで火災はほぼ防げます。
あなたの家庭の安全にも、ぜひ今日から活かしてください。

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