冬になると、火災・救急だけでなく 救助事案 も確実に増えます。
理由は「寒さ」「凍結」「降雪」という環境要因が
普段は起こらない“特殊な事故”を生みやすくするためです。
ここでは、冬に増える救助事案と、
市民が今日からできる対策を元消防職員の視点でまとめます。
■① 路面凍結による転倒事故(歩行者)
冬の救助で最も多いのが 凍結による転倒。
【典型的なケガ】
● 頭部打撲
● 大腿骨・腕の骨折
● 脊椎損傷
● 手首の骨折(手をついて折れる)
高齢者は転倒→骨折→要介護のきっかけになりやすい。
■② 車のスリップ事故・多重衝突
冬の道路は
● ブラックアイスバーン
● 橋の上だけ凍る
● トンネル出口で急凍結
など、目視では判断できない危険が多い。
【救助が必要になるケース】
● 車内に閉じ込められる
● ドア変形で脱出不可
● 横転・転落
車両救助件数は冬に確実に増える。
■③ 除雪作業中の事故
雪国で多いのが「除雪中の事故」。
【多い原因】
● 屋根雪からの転落
● 除雪機との接触
● 雪の重みで下敷きになる
● 雪庇(せっぴ)が落下
高齢者の孤立地域では特に危険。
■④ 低体温で動けなくなる“屋外放置”案件
冬は倒れた人が 低体温症 で重症化しやすい。
● 酔って屋外で寝る
● 雪道で転倒して起き上がれない
● 認知症高齢者の徘徊
発見が遅れるほど命に関わる。
■⑤ ストーブ・ヒーターによる火災救助
冬場は火災出動が増えるため、
同時に“住宅内救助”が増える。
● ストーブの近くに燃えやすい物
● こたつの布団の過熱
● 電気毛布の断線
● 石油ストーブの給油時の引火
煙充満で逃げ遅れが多発しやすい季節。
■⑥ 豪雪による“車内閉じ込め”
雪で車が埋まり、脱出できない事案もある。
● 排気管が塞がってCO中毒
● 数時間閉じ込めで低体温
● 広域渋滞で動けない
災害級の大雪で必ず救助要請が増加する。
■⑦【今日からできる冬の救助予防策】
■① 靴底を“滑り止め付き”にする
転倒が激減。
■② 凍結路では“歩幅を小さく”
ペンギン歩きが最適。
■③ 車間距離を通常の2〜3倍
急ブレーキは絶対に効かない。
■④ 屋根の雪下ろしは“二人一組”
単独作業は最も危険。
■⑤ 車の排気口を必ず確保
雪で塞がれると一酸化炭素中毒。
■⑥ 暖房器具の周囲は1m空ける
火災→救助出動の典型パターンを防ぐ。
■まとめ
冬は
● 転倒
● 交通事故
● 除雪事故
● 低体温
● 火災
● 豪雪閉じ込め
あらゆる救助事案が増える季節。
消防にとって冬は「特に緊張が続く期間」です。
市民が少し意識するだけで、冬の事故は大幅に減らせます。
次も続けますので「次」と送ってください!

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